同じ社名の会社は登記できる?|類似商号規制廃止後に確認すべき3つのポイント
こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。
法人設立のご相談では、「気に入った社名があるが、似たような名前の会社が既にあるかもしれない」というお悩みをいただくことがあります。「類似商号規制はもう廃止されたはずだから大丈夫」という情報だけが独り歩きし、実際には別の注意点が残っていることに気づかないまま商号を決めてしまうケースも見られるようです。
この記事の結論
- 平成18年の会社法施行により、いわゆる「類似商号規制」自体は廃止されたとされています。
- ただし商業登記法27条により、同一の所在場所(本店)における同一商号の登記は今も認められないとされています。
- 登記自体ができても、不正競争防止法や商標権の観点から、後から名称変更を迫られるリスクが残るとされています。
平成18年の会社法施行で「類似商号規制」は廃止された
かつての商法・旧商業登記法には、同一市区町村内で同種の事業を営む会社について、類似する商号の登記を制限する「類似商号規制」がありました。平成18年の会社法施行にともない、この規制自体は廃止されたとされています。そのため現在は、同じ市区町村・同じ業種であっても、他社と同一または類似した商号を登記すること自体は原則として可能とされています。
今も残る規制:商業登記法27条「同一の所在場所」での同一商号
もっとも、規制が完全になくなったわけではありません。商業登記法27条は、「商号の登記は、その商号が他人の既に登記した商号と同一であり、かつ、その本店の所在場所が当該他人の商号の登記に係る本店の所在場所と同一であるときは、することができない」と定めています。つまり、住所(本店所在地)までまったく同じで商号も同じ、という極めて限られたケースのみが禁止されているとされています。
逆に言えば、柏市内の同じ業種であっても本店所在地が異なれば、既存の会社と同一・類似の商号を登記すること自体は通ってしまう場合があるとされています。千葉地方法務局柏支局の管轄内か、さいたま地方法務局など埼玉県内の管轄かが異なる場合も同様です。「登記が通った=問題ない」ではない点に注意が必要とされています。
登記できても安心できない、2つのリスク
1つ目は、不正競争防止法上のリスクです。同法2条1項1号は、需要者の間に広く知られた商号等と同一・類似の名称を使い、他人の営業と混同を生じさせる行為(周知表示混同惹起行為)を、同項2号は、全国的に著名な商号等と同一・類似の名称を使う行為(著名表示冒用行為)を、それぞれ禁止しているとされています。1号は一地方で広く知られている程度でも該当し得るとされ、柏市や千葉県・埼玉県内で同業として名の知れた会社がある場合は注意が必要とされています。
2つ目は、商標権のリスクです。商号の登記と商標登録はまったく別の制度であり、商号として登記できたことは、他社の登録商標を侵害しないことを意味しないとされています。特許庁が提供する検索システム「J-PlatPat」を使えば、商号候補が既存の登録商標と似ていないかを無料で確認できるとされています。
確認しておきたいチェックリスト
- ☐ 本店予定地(柏市内・千葉県内・埼玉県内など)で、同一商号が既に登記されていないか確認したか
- ☐ 検討中の商号が、同業種で地域的に広く知られた会社名と似ていないか確認したか
- ☐ J-PlatPatで、同一・類似の登録商標がないか確認したか
- ☐ 展開予定のエリアが複数県にまたがる場合、それぞれの地域での同業他社の名称も確認したか
よくある質問
Q1. 類似商号規制はもう気にしなくていいのですか?
A. 会社法上の類似商号規制自体は廃止されたとされていますが、商業登記法27条や不正競争防止法など、別の規律は今も残っているとされています。「規制がなくなった」という情報だけで判断せず、これらの点もあわせて確認することをおすすめします。
Q2. 千葉県内・埼玉県内で同じ社名の会社を見つけたら、どうすればいいですか?
A. 本店所在地が異なれば商業登記法27条には抵触しないとされていますが、同一の商圏で混同を生じさせる可能性がある場合は、不正競争防止法上のリスクが残るとされています。少しでも気になる場合は、事前の確認をおすすめします。
Q3. 商号調査は自分でもできますか?
A. 登記情報提供サービスや法務局の窓口で、既存の登記情報をある程度確認できるとされています。ただし判断に迷う場合や、商標権に関わる調査は、専門家への相談も検討されるとよいとされています。
(参考)これまでの相談の中では、思い入れのある名称をそのまま採用しようとしたところ、近隣で同種の事業を営む法人が似た名称を既に使っていた、というケースも一般的に見られるようです。登記自体は通っても、後から名称変更を求められると、変更登記の費用や取引先・顧客への周知のやり直しが発生するため、事前確認の重要性がうかがえます。
ワンポイントアドバイス
商号を決める際は、法務局の登記情報での確認とあわせて、インターネット検索やJ-PlatPatでの商標調査も行っておくと安心とされています。なお、商標権に関する専門的な判断や出願手続きは弁理士の、実際に係争になった場合の対応は弁護士の職域となりますので、必要に応じてそれぞれの専門家と連携しながら進めることをおすすめします。
まとめ
会社法施行にともない、いわゆる「類似商号規制」自体は廃止されたとされていますが、商業登記法27条による「同一住所・同一商号」の禁止や、不正競争防止法・商標権に関するリスクは今も残っているとされています。柏市・千葉県・埼玉県のいずれで法人設立をお考えの場合も、商号を決める前の確認を丁寧に行うことをおすすめします。
