監査役、うちの会社は置かなくていい?設置義務の判断基準を整理
こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。
会社設立や機関設計のご相談をお受けする中で、「監査役は必ず置かなければならないものなのか」というご質問をいただくことがあります。中小企業の多くは監査役を置いていないというイメージから、自社にも必要なのか判断に迷う方も多いようです。
この記事の結論
- 監査役の設置義務は、会社の機関設計(取締役会を置くかどうかなど)によって決まるとされています。
- 取締役会を設置する会社は、原則として監査役(または会計参与)を置く必要があるとされています。
- 取締役会を置かない非公開会社であれば、監査役を置かない機関設計も可能とされています。
監査役の設置は「会社の作り方」次第
会社法上、監査役を置くかどうかは、株式会社であれば一律に決まっているわけではなく、その会社がどのような機関設計を選んでいるかによって変わってくるとされています。ポイントになるのは、取締役会を設置しているかどうかです。取締役会設置会社は、業務執行の決定を取締役会が行い、株主総会の権限が一定範囲に限定される仕組みのため、株主に代わって取締役を監視する役割として、原則として監査役の設置が義務付けられているとされています(会社法327条2項)。
取締役会を置かない会社なら、監査役なしも選べる
一方で、取締役会を設置しない会社(非公開の中小企業に多い形態)であれば、監査役を置かない機関設計も可能とされています。多くの中小企業が監査役を置いていないのは、そもそも取締役会を設置していないケースが多いためと考えられます。ただし、取締役会設置会社であっても、非公開会社が会計参与を置く場合には、監査役を置かないことが認められる場合もあるとされており、機関設計の組み合わせによって判断が変わる点に注意が必要です。
監査役を置く場合、権限を会計監査に限定できる特則もある
非公開会社(監査役会設置会社・会計監査人設置会社を除く)については、定款で監査役の監査範囲を会計に関するものに限定する旨を定めることができるとされています(会社法389条)。これにより、業務監査までは求めず、会計面のチェックに絞った運用をする中小企業もあると考えられます。また、大会社(資本金5億円以上または負債200億円以上)については、非公開会社であっても会計監査人の設置が義務付けられており、その前提として監査役の設置も必要になるとされています。
確認しておきたいチェックリスト
- ☐ 自社が取締役会設置会社かどうかを確認しているか
- ☐ 取締役会設置会社の場合、監査役または会計参与のどちらを置くか検討しているか
- ☐ 監査役を置く場合、監査範囲を会計限定にするかどうかを定款で整理しているか
- ☐ 資本金・負債の規模から大会社に該当しないか確認しているか
よくある質問
Q1. 設立時に監査役を置かなかった会社が、後から取締役会を設置する場合はどうなりますか?
A. 取締役会を新たに設置する場合、原則として監査役(または会計参与)もあわせて設置する必要が生じるとされています。定款変更・登記もあわせて必要になると考えられます。
Q2. 監査役を置かない会社にする場合、何か不利益はありますか?
A. 監査役を置かないこと自体に直接の罰則等はありませんが、取締役会設置会社であるにもかかわらず監査役等を欠く状態は会社法違反となり得るため、機関設計全体の整合性を確認しておく必要があると考えられます。
ここまでが基本的な整理です。ただし、実際の機関設計は会社の規模や将来的な事業計画によって最適な形が異なります。自社の機関設計を見直したいという段階でのご相談でも構いませんので、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
監査役の設置義務は、取締役会を設置しているかどうかなど、会社の機関設計によって決まるとされています。取締役会を置かない非公開会社であれば監査役なしの機関設計も可能ですが、取締役会設置会社や大会社に該当する場合は設置が必要になります。機関設計の見直しは登記にも関わるため、司法書士とも連携しながら進めることをおすすめします。

