その定款認証、実は半額で済んでいませんか?|資本金100万円未満なら15,000円になる3つの条件
こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。
これから株式会社を設立しようとする方から、「定款認証の費用はいくらかかりますか?」というご質問をいただくことがあります。「公証役場の手数料は3万円」という情報のまま資金計画を立てている方も少なくないのですが、実は要件を満たせば1万5,000円で済むケースがあるとされています。
この記事の結論は次のとおりです。
- 令和6年12月1日から、一定の要件を満たす株式会社については、定款認証の手数料が3万円から1万5,000円に引き下げられているとされています。
- 要件は「発起人が全員自然人で3人以下であること」「発起人が設立時発行株式の全部を引き受けること」「定款に取締役会を置く旨の記載がないこと」の3点とされています。
- ご自身の設立予定の会社がこの要件に当てはまるかどうかの判断や、定款の記載内容でお困りの場合は、専門家への相談も選択肢の一つと考えられます。
「定款認証料=3万円」、実はもう古い情報かもしれません
これまで、株式会社の定款認証手数料は、資本金の額に応じて3万円・4万円・5万円の3段階とされてきました。多くの創業支援サイトや書籍でも「定款認証は3万円」と紹介されており、この情報のまま設立費用を見積もっている方も多いのではないでしょうか。
しかし、令和6年11月22日に公証人手数料令の一部を改正する政令が公布され、同年12月1日から、一定の要件を満たす小規模な株式会社については、この手数料が半額の1万5,000円に引き下げられているとされています。スタートアップ企業の負担軽減を目的とした措置とされています。
半額(1万5,000円)になる3つの条件
この半額特例は、資本金の額等が100万円未満の株式会社を設立する場合であって、次の3つの要件をすべて満たすときに適用されるとされています。
- 発起人の全員が自然人(個人)であり、かつ、その数が3人以下であること
- 定款に、発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の記載又は記録があること
- 定款に、取締役会を置く旨の記載又は記録がないこと
いずれか1つでも満たさない場合は、従来どおりの手数料区分(3万円等)が適用されるとされていますので、定款の設計段階での確認が重要になります。
理解度チェック
Q. 資本金50万円、発起人は個人1名のみ、取締役会を置かない株式会社を設立する場合、定款認証の手数料はどうなるでしょうか?
A. 資本金100万円未満、発起人1名(3人以下)、取締役会を置かない設計であるため、他の要件(発起人が株式全部を引き受ける旨の記載)も満たしていれば、1万5,000円が適用される可能性があるとされています。
対象になりやすいのはこんな会社
この特例は、資本金を抑えて小規模にスタートする一人社長・家族経営の株式会社や、取締役会を置かないシンプルな機関設計を選ぶ創業者に該当しやすいとされています。逆に、複数の外部投資家を発起人に迎える場合や、設立当初から取締役会を置く設計にする場合は、対象外となる点に注意が必要です。
いつから対象?経過措置に注意
この改定の適用は、定款認証の嘱託(公証役場への認証依頼)を行った日を基準に判断されるとされています。令和6年11月30日以前に嘱託された定款については、従前の例(改定前の手数料区分)によるとされていますので、これから設立準備を進める場合は、原則としてこの半額特例の対象になり得ると考えられます。
チェックリスト
- ☐ 資本金は100万円未満の予定か
- ☐ 発起人は全員個人(自然人)で、3人以下か
- ☐ 発起人全員が設立時発行株式の全部を引き受ける設計になっているか
- ☐ 定款に取締役会を置く旨を記載していないか
よくある質問
Q1. 合同会社の場合も、この半額特例は関係ありますか?
A. この半額特例は株式会社の定款認証手数料に関するものとされています。合同会社はそもそも公証役場での定款認証自体が不要とされているため、この特例は関係しないと考えられます。
Q2. 電子定款と紙の定款とで、この半額特例の扱いは変わりますか?
A. この特例は認証手数料そのものに関する取扱いとされており、電子定款・紙の定款のいずれであっても、上記3要件を満たせば適用されると考えられます。なお、紙の定款にかかる印紙税(4万円)の要否は、この認証手数料とは別の論点になります。
ワンポイントアドバイスとして、資本金の額や発起人の人数・機関設計(取締役会の有無)は、設立後の変更にも登記費用や手続きの手間がかかるため、設立時点でじっくり検討しておくことをおすすめします。資本金額の税務上の判断が絡む場合は、税理士と連携しながら進めることも大切です。
ここまでが制度の全体像です。ただし、実際の設立準備では、発起人の人数や機関設計によって最適な進め方が変わってきますので、この段階でのご相談でも構いません。
まとめますと、令和6年12月1日以降、資本金100万円未満・発起人3人以下(自然人のみ)・取締役会を置かない、という3条件を満たす株式会社は、定款認証手数料が3万円から1万5,000円に引き下げられているとされています。設立費用を見積もる際は、この特例が使えるかどうかも確認しておくとよいでしょう。
定款の内容や資本金の設計でお悩みの場合、また税務上の判断が必要な場合(税理士との連携が必要な場合)も含め、まずはお気軽にご相談ください。
行政書士だいち法務事務所(代表:行政書士 和田一宏)
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