運送利用管理規程が必要なのは一部だけ?「特別」区分の対象事業者と、規模を問わず必要な新義務を整理
こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。
2026年4月1日から、貨物利用運送事業者にも新たな義務が課されるようになったとされています。当事務所のブログでも以前この改正の概要をご紹介しましたが、「運送利用管理規程」がどの事業者に必要になるのかという点は、誤解されやすいポイントです。今回は、この規程が必要になる事業者の範囲と、規模にかかわらず必要となる対応を整理します。
この記事の結論
- 運送利用管理規程の作成・運送利用管理者の選任が必要となるのは、一定規模以上の利用運送を行う事業者に限られるとされています。
- 意見公募段階の資料では、対象となる規模の目安として、前年度の利用運送に係る貨物取扱量の合計が100万トン以上とすることが示されていました。
- この規模に満たない事業者であっても、運送契約の書面交付義務や実運送体制管理簿の作成義務は、原則として及ぶとされています。
「運送利用管理規程」とは何か
改正貨物自動車運送事業法に関する施行規則の見直しでは、一定規模以上の貨物自動車利用運送を行う貨物自動車運送事業者(一般・特定貨物自動車運送事業者が想定されています)は、「運送利用管理規程」を定め、「運送利用管理者」を選任したうえで、届け出なければならないとされています。
これは、荷主から引き受けた運送を他の運送事業者に委託する際の管理体制を、社内規程として整備することを求める仕組みとされています。
対象になるのは「一部の大手事業者」という位置づけ
この規程の作成義務・管理者の選任義務が及ぶ範囲について、令和6年10月頃の意見公募(パブリックコメント)段階の資料では、前年度に行った利用運送に係る貨物取扱量の合計量が100万トン以上であることが対象の目安として示されていました。
100万トンという規模は、一般的な中小の運送事業者にとっては該当しにくい水準とされています。そのため、「運送利用管理規程」という言葉だけを見て、自社にも作成義務があるのではと不安に感じる必要は、多くの事業者にとって薄いと考えられます。ただし、これは意見公募段階の資料に基づく数値のため、正式な基準は制度の運用開始後に国土交通省が示す最新の情報で確認する必要があります。
規模を問わず必要になる可能性がある対応
一方で、次の2点については、規程作成義務の対象規模に満たない事業者にも及ぶ可能性があるとされています。
- 運送契約締結時の書面交付義務(契約当事者の氏名・住所、燃料サーチャージ等の料金、支払方法等を記載した書面を交付し、1年間保存する)
- 実運送体制管理簿の作成・保存義務(1.5トン以上の貨物について、他の運送事業者に運送を委託した場合に、実運送事業者の名称等を記載し、運送完了後1年間営業所に据え置く)
「規程の作成義務がないから対応不要」ではなく、書面交付や管理簿の作成といった基本的な対応は、規模にかかわらず確認しておくことが望まれます。
自社の対応状況を確認するチェックリスト
- ☐ 前年度の利用運送に係る貨物取扱量が、おおむね100万トンに近い規模になっていないか
- ☐ 荷主・委託先との運送契約について、書面交付の体制ができているか
- ☐ 実運送体制管理簿を作成・保存できる体制になっているか
- ☐ 自社が「特別」の区分に該当するかどうか、国土交通省の最新情報で確認したか
Q1. 100万トンという基準は、どの時点の情報ですか?
A. 令和6年10月頃に実施された、貨物自動車運送事業法の施行規則等の改正に関する意見公募の資料に基づく数値です。正式な運用開始後の基準については、国土交通省の最新の案内でご確認ください。
Q2. 自社が対象規模に該当するかどうか、判断に迷う場合はどうすればよいですか?
A. 貨物取扱量の集計方法や、事業区分(一般・特定貨物自動車運送事業者、貨物利用運送事業者等)によって判断が分かれる場合があります。不明な点は、運輸支局や専門家に相談することをおすすめします。
ワンポイントアドバイスとして、まずは自社の前年度の取扱貨物量を把握し、100万トンという水準との距離感を確認することから始めるとよいと考えられます。規程の作成が必要になった場合、内容の整備には行政書士が対応できる範囲もありますので、早めのご相談をおすすめします。なお、労務管理に関わる部分は社会保険労務士、税務に関わる部分は税理士など、内容に応じて適切な専門家と連携することも大切です。
まとめ
運送利用管理規程の作成・管理者の選任が義務付けられるのは、一定規模以上(意見公募段階では100万トン以上)の利用運送を行う事業者に限られるとされています。一方で、書面交付義務や実運送体制管理簿の作成義務は、規模にかかわらず及ぶ可能性があるため、規程の対象外だからと安心せず、基本的な対応状況を確認しておくことが大切です。

