その開業計画、6か月前の届出は済んでいますか?外来医師過多区域の新ルールと保険指定への影響
こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。
「開業したい場所を決めたら、あとは物件契約と資金調達を進めるだけ」——クリニックの開業をお考えの先生から、そのようなお話を伺うことがあります。しかし、2026年4月から、開業予定地によっては、この段取りに新しい手続きが1つ加わる見込みです。
この記事の結論
- 「外来医師過多区域」で無床診療所を新規開設する場合、開設予定日のおおむね6か月前までに都道府県への事前届出が求められる見込みとされています。
- 届出後、都道府県から地域で不足する医療機能の提供を要請されることがあり、応じない場合は保険医療機関の指定期間が通常6年から3年・2年に短縮される可能性があるとされています。
- 対象区域や運用の詳細は、今後の政省令・ガイドラインで確定していく段階とされているため、開業予定地が対象区域に含まれるかどうかは、都道府県の最新情報での確認が必要です。
「外来医師過多区域」とはどのような地域か
外来医師過多区域は、外来医師偏在指標が全国平均に一定の基準を加えた水準以上で、かつ可住地面積あたりの診療所数が全国上位に該当する地域を指すとされています。2026年1月時点の厚生労働省の検討会資料では、候補として東京23区内の5区域、京都・乙訓、大阪市、神戸、福岡・糸島の9つの二次医療圏が挙げられていました。
ただし、これらはあくまで候補段階の情報であり、最終的な指定は都道府県が医療計画の中で行うとされています。都道府県によっては、二次医療圏単位だけでなく、市区町村単位・地区単位で指定される可能性もあるとされているため、候補一覧に開業予定地が含まれていないからといって、対象外と判断することはできません。
開業6か月前の事前届出で、何を書くのか
対象区域で無床診療所を新規開設する場合、開設予定日のおおむね6か月前までに、都道府県へ事前届出を行うことが求められる見込みとされています。届出事項としては、開設予定地・診療科目等の基本情報に加えて、「地域外来医療(その地域で特に必要とされる外来医療)を提供する意向があるか」、提供する場合の具体的な内容、提供しない場合の理由まで記載することが想定されているとされています。
要請に応じなかった場合、何が起きるのか
都道府県からの要請は、法的な命令ではなく、応じる義務はないとされています。ただし、要請を断る場合には理由の説明が必要とされ、協議の場への参加要請、期限を定めた要請、都道府県医療審議会での説明、勧告、公表・厚生労働大臣への通知という形で、段階的に手続きが進む仕組みが想定されています。
実務上とくに影響が大きいとされているのが、保険医療機関の指定期間の短縮です。通常6年とされる指定期間が、要請に期限までに応じなかった場合や勧告を受けた場合には3年に、再指定後も従わない状態が続いた場合には2年に、それぞれ短縮される見込みとされています。
開業前に確認しておきたいポイント
- ☐ 開業予定地が、都道府県の医療計画・外来医療計画で外来医師過多区域の対象になっていないか
- ☐ 開業予定日から逆算して、6か月前の事前届出の時期を組み込めているか
- ☐ 地域で不足しているとされる医療機能(夜間診療・在宅医療等)について、自院の診療方針との整合性を検討したか
- ☐ 保険診療を扱う予定かどうか(自由診療のみの場合は、指定期間短縮の影響を受けにくいとされています)
Q1. 外来医師過多区域では、開業自体ができなくなるのですか?
A. 開業ができなくなるわけではないとされています。示されているのは、事前届出と、地域で不足する医療機能の提供を求める要請の仕組みであり、開設そのものを禁止する制度ではないとされています。
Q2. 自分の開業予定地が対象区域かどうかは、どこで確認できますか?
A. 都道府県が策定する医療計画・外来医療計画で確認することになるとされています。2026年1月時点の候補一覧に入っていない地域でも、都道府県の公表資料を確認する必要があります。
ワンポイントアドバイスとして、開業予定地を決める前の段階で、対象区域に該当する可能性の有無を確認しておくことをおすすめします。届出書類の準備や、都道府県とのやり取りについては、早めに専門家へ相談しておくと、開業スケジュールへの影響を抑えやすくなります。なお、税務に関するご相談は税理士など、内容に応じて適切な専門家と連携して対応しております。
まとめ
2026年4月から、外来医師過多区域で無床診療所を新規開設する場合には、開設6か月前までの事前届出が求められる見込みとされています。要請に応じない場合は保険医療機関の指定期間が短縮される可能性もあるため、開業予定地を検討する早い段階で、対象区域への該当有無を確認しておくことが望まれます。制度の詳細は今後の政省令・ガイドラインで確定していく段階とされているため、最新情報の確認が必要です。

