会社を譲るとき、運送事業の許可はどうなるのか|事業譲渡・合併分割・相続の認可申請、今さら確認したい基本
こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。
「後継者に会社を譲りたい」「同業者と会社をまとめたい」――運送業を営む事業者様から、事業承継に関するご相談を伺うことがあります。
『手続きは届出だけで済むのだろうか』
そう思われている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、特定貨物自動車運送事業(荷主が特定されている運送事業)の譲渡譲受・合併・分割・相続については、令和7年8月1日から、これまでの届出制から認可制に変更されています。
この記事の結論です。
- 特定貨物自動車運送事業の事業譲渡・合併・分割・相続は、令和7年8月1日以降、国土交通大臣等の認可を受ける必要があるとされています。
- 届出制のときとは異なり、認可が下りるまで手続きが完了しない点に注意が必要と考えられます。
- 一般貨物自動車運送事業(不特定多数の荷主を対象とする通常の運送事業)は、従来から認可制が基本とされています。
以前と今、何が変わったのか
令和6年法律第23号「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」による改正に伴い、特定貨物自動車運送事業に関する手続きが変わりました。
下の表で、変更の前後を整理します。
| 項目 | 令和7年7月31日まで | 令和7年8月1日以降 |
|---|---|---|
| 特定貨物自動車運送事業の譲渡譲受 | 届出制 | 認可制 |
| 特定貨物自動車運送事業の合併・分割 | 届出制 | 認可制 |
| 特定貨物自動車運送事業の相続 | 届出制 | 認可制 |
届出は「提出すれば手続きが進む」ものですが、認可は「行政の審査を経て許可が下りて初めて効力が生じる」ものとされています。この違いは、事業承継のスケジュールに直結します。
対象となるのはどんな場面か
今回の制度変更が関わるのは、次のような場面とされています。
- 会社を第三者や親族に譲渡する(事業譲渡)
- 複数の運送会社を1つに合併する
- 事業の一部を切り離して別会社に承継させる(会社分割)
- 経営者に相続が発生し、事業を親族が引き継ぐ
いずれの場面でも、特定貨物自動車運送事業に該当する部分については、認可を受けるまで手続きが完了しないと考えられます。
認可申請の流れ、逆算して考える
国土交通省では、特定貨物に係る処理方針や標準処理期間についての通達を改正し、認可制への移行にあわせた運用を進めているとされています。
届出制であれば提出後すぐに次のステップに進めるケースもありましたが、認可制では審査期間を見込んだスケジュールが必要です。
事業承継や相続のタイミングは、経営者ご自身の意思だけで決められないこともあります。
だからこそ、早めの準備が安心につながります。
理解度チェッククイズ
Q1. 特定貨物自動車運送事業の合併に伴う手続きは、令和7年8月1日以降どうなったでしょうか。
A. 届出制のまま B. 認可制に変更 C. 手続き自体が不要に
答え:B。合併も譲渡譲受・分割・相続とあわせて認可制に変更されたとされています。
Q2. 認可制と届出制の違いとして正しいのはどれでしょうか。
A. 認可制は提出のみで効力が生じる B. 届出制は審査を経てから効力が生じる C. 認可制は行政の審査を経て効力が生じる
答え:C。認可制は行政の審査を経て認可が下りて初めて効力が生じる点が、届出制との大きな違いとされています。
事業承継で慌てたF社の例(参考)
後継者へ会社を譲る話が進み、契約の直前になって手続きの種類を確認したところ、想定より時間がかかることが分かった――という一般的なパターンは、事業承継の相談の中でしばしば見られます。
その結果、契約日を後ろ倒しにせざるを得なくなるケースもあるとされています。
早い段階で許認可の要件を確認しておくことが、契約全体のスケジュールを守ることにつながります。
ワンポイントアドバイス
事業承継を検討し始めた段階で、まず現在の許可の種類(一般貨物か特定貨物か)を確認しておくと、その後の手続きの見通しが立てやすくなります。なお、株式の譲渡方法や税務面の設計は税理士、雇用契約の承継に伴う労務面は社会保険労務士のご相談も適宜ご案内いたします。
ここまでが全体像です。ただし実務では、譲渡の形態(株式譲渡か事業譲渡か)や既存の事業計画によって必要な手続きが変わることもあります。
まとめ
特定貨物自動車運送事業の譲渡譲受・合併・分割・相続は、令和7年8月1日から認可制に変更されているとされています。届出制だったときの感覚のまま進めると、想定より時間がかかる可能性があります。
『いつまでに何をすればいいのか整理してほしい』というお悩みは、この段階のご相談でも構いません。ぜひ行政書士だいち法務事務所へお声がけください。

