取締役1人だけの会社、作れる?家族・親族だけで株式会社を設立するときの基本
こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。
「うちは家族だけの小さな会社。取締役は自分1人だけで足りるのだろうか」「妻や親族を役員に入れなければ、会社は作れないのだろうか」――会社設立をお考えの方から、こうしたご相談が寄せられる傾向があります。
この記事の結論(3点)
- 取締役会を置かない株式会社であれば、取締役は1人から設立できるとされています。
- 取締役や株主が家族・親族だけであることを理由に、設立できなくなるわけではないと考えられます。
- 取締役会を置く場合は、取締役が3人以上必要とされているため、最初に「どちらの形にするか」を決めておくことが大切です。
取締役会を置くかどうかで、必要な人数が変わります
株式会社の設立では、最初に「取締役会を置くか、置かないか」を決めます。法務省の案内によると、取締役会を設置する場合、設立時取締役は3人以上でなければならず、取締役会を置かない場合は人数の制限がないとされています。
- 取締役会を置かない会社:取締役は1人以上(1人でも設立できるとされています)
- 取締役会を置く会社:取締役は3人以上が必要とされています
家族経営の小さな会社であれば、まずは取締役会を置かない形で検討されることが多いと考えられます。
家族・親族だけの会社でも設立できるのか
取締役や株主が家族・親族だけであっても、それだけで設立できないという決まりは、会社法上、見当たりません。ただし、次の点は事前に整理しておくと安心です。
- 取締役が1人の場合、その人が会社を代表するのが通常と考えられます。
- 株式を家族でどう分けるかで、株主総会の決議に与える影響が変わります。たとえば定款の変更などは、3分の2以上の賛成が必要な特別決議とされています。
- 役員報酬や社会保険の扱いは、会社設立の手続きとは別の論点です(税務は税理士、社会保険・労務は社会保険労務士の領域です)。
取締役1人で始める前に確認したい3つのポイント
1. 取締役に万一のことがあったときの備え
取締役が1人だけの場合、その人が病気やけがで動けなくなると、会社の意思決定が止まるおそれがあります。設立の段階で、将来の役員追加も視野に入れておくとよいでしょう。
2. 後から取締役会を置く場合は手続きが必要
事業が大きくなり、取締役会を置く形に変えたい場合は、定款の変更や登記が必要になると考えられます。最初から将来の形を見据えた定款にしておくと、後の手間を抑えられる可能性があります。
3. 任期と変更登記を忘れない
取締役の任期が来たときは、同じ人が続けて就任する場合でも、変更登記が必要とされています。非公開会社では、定款で任期を最長10年まで伸ばせるとされています。
設立までの大まかな流れ
法務省の案内によると、発起設立では次のような流れで進みます。
- 定款を作成し、公証人の認証を受ける
- 発起人が株式を引き受け、払込取扱機関で出資金を払い込む
- 設立登記を申請する(認証済みの定款、就任承諾書、払込みを証する書面、印鑑証明書などが必要とされています)
登録免許税は、資本金の額の0.7%とされ、計算した額が15万円に満たない場合は15万円と案内されています。
設立前のチェックリスト
- ☐ 取締役会を置くか、置かないかを決めましたか
- ☐ 取締役を何人にするか、誰にするかを決めましたか
- ☐ 家族での株式の持ち分(誰が何%か)を話し合いましたか
- ☐ 将来、役員を増やす可能性を考えましたか
- ☐ 任期と変更登記の時期を把握しましたか
よくある質問
Q1. 夫婦2人で取締役になることはできますか?
A. 取締役会を置かなければ人数の制限はないとされており、夫婦2人で取締役になる形も考えられます。ご事情に応じた役員構成は、個別に整理することをおすすめします。
Q2. 取締役1人だけの会社に、監査役は必要ですか?
A. 取締役会を置かない会社では、監査役の設置は原則として義務とされていないと考えられます。ただし、定款の定め方によって異なる場合があります。
Q3. 取締役の報酬や社会保険はどうなりますか?
A. 報酬の決め方は税務にも関わるため税理士に、社会保険の加入は社会保険労務士にご相談ください。
ワンポイントアドバイス
役員の人数は、「今の事業規模」だけでなく「3年後にどうなっていたいか」も含めて決めると、後から手続きをやり直す手間が減ると考えられます。
まとめ
取締役会を置かない株式会社は、取締役1人から設立できるとされており、家族・親族だけの会社も可能と考えられます。大切なのは、取締役会の有無、株式の持ち分、将来の役員構成を最初に整理しておくことです。
「自分の会社の場合はどうなるのか整理してほしい」というお悩みは、ぜひ当事務所へご相談ください。税務は税理士、社会保険・労務は社会保険労務士、争いごとは弁護士など、専門分野に応じてご案内いたします。