その議事録の作り方、変わるかもしれません|会社法改正(株式・株主総会)の最新動向
こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。
「うちは非上場の小さな会社だから、会社法改正のニュースは関係ない」——そう思われる経営者様も多いかもしれません。しかし、法制審議会で検討が進められている会社法改正案の中には、非上場会社を含む全ての株式会社が対象となる項目も含まれているとされています。今回は、株主総会や議事録の実務に関わりそうな部分を中心に、現在の検討状況を整理します。
この記事の結論
- 法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会は、令和8年3月18日に「中間試案」を取りまとめ、令和8年5月22日までパブリックコメントを実施したとされています
- 中間試案には、株主総会を「場所を定めずに」開催できるバーチャルオンリー株主総会の解禁など、非上場会社を含む全ての株式会社が対象となりうる項目が含まれているとされています
- あくまで中間試案の段階であり、今後の審議を経て要綱案がまとめられ、法案提出に至るかどうかも含めて、現時点では確定していない内容とされています
「中間試案」とは何か
法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会は、株式の発行、株主総会、企業統治に関する会社法の規律について検討を重ねており、令和8年3月18日開催の第12回会議で「会社法制(株式・株主総会等関係)の見直しに関する中間試案」を取りまとめたとされています。この中間試案は、法務省のウェブサイトで公表され、令和8年5月22日までパブリックコメントの手続きが行われたとされています。
中間試案は大きく「株式の発行の在り方」「株主総会の在り方」「企業統治の在り方」の3つのテーマに分かれ、それぞれ複数の論点についてA案・B案といった複数の選択肢が併記された段階にあるとされています。
非上場会社にも関わりうる項目
中間試案の項目の多くは上場会社を主な対象としていますが、次の項目については、非上場会社を含む全ての株式会社が対象として検討されているとされています。
バーチャルオンリー株主総会の解禁
「場所の定めのない株主総会」(バーチャルオンリー株主総会)を実施できることとする規律が検討されており、その適用対象は非上場会社を含む全ての株式会社とする方向とされています。実施にあたっては、定款でその旨を定めることや、インターネットの利用に支障がある株主への配慮措置などが要件として検討されています。あわせて、株主総会の議事録に「議事における情報の送受信に用いた通信の方法」や「場所を定めなかった旨」を記載事項として加えることも検討されているとされ、実現すれば議事録の書き方そのものに影響する可能性があります。
事前の議決権行使による決議の合理化
株主総会の招集前に事前の書面・電磁的方法による議決権行使が行われ、それだけで決議の要件を満たした場合には、株主総会を開催する前提を維持しつつも、一定の手続きのもとで決議があったものとみなす制度が検討されているとされています。小規模な会社における総会運営の簡素化につながる可能性がある論点と考えられます。
株主提案権の要件見直し
取締役会設置会社における株主提案権の議決権数要件(現行300個以上)について、要件を廃止する案や、一定の個数まで引き上げる案が検討されているとされています。
今のところは「検討段階」であることに注意
ここで紹介した内容は、いずれも中間試案に示された複数の選択肢(A案・B案等)の一部であり、今後の審議を経て絞り込まれていくものとされています。パブリックコメントの手続きはすでに終了しているとされていますが、要綱案の取りまとめや法案提出の時期については、現時点で確定した情報がありません。実務対応が必要になるのは、法案が成立し、施行日が確定した段階になると考えられます。
確認しておきたいチェックリスト
- ☐ 自社が株主総会をどのような形式(会場開催・書面決議等)で行っているか把握しているか
- ☐ 株主総会議事録の記載事項を定期的に見直しているか
- ☐ 会社法改正に関する続報を確認する手段(専門家への相談等)を持っているか
Q. バーチャルオンリー株主総会は、もう実施できるのですか?
A. 現時点ではまだ中間試案の段階であり、法律として成立・施行されたものではないとされています。実施できるようになるかどうか、その要件も含めて、今後の審議の進展を確認する必要があります。
Q. 中小企業の経営者は、今何をしておけばいいですか?
A. 現時点で緊急に対応すべき事項はないと考えられますが、自社の株主総会運営や議事録作成の実務を把握しておくことは、将来の制度変更にスムーズに対応するための備えになると考えられます。
まとめ
会社法制(株式・株主総会等関係)の見直しは、現在中間試案の段階にあり、非上場会社を含む全ての株式会社が対象となりうる項目(バーチャルオンリー株主総会の解禁等)も含まれているとされています。今後の審議の進展を注視しつつ、自社の株主総会・議事録の実務を整理しておくことをおすすめします。
なお、株主総会議事録や定款の整備に関するご相談は行政書士が承りますが、登記が必要な事項(役員変更等)の代理は司法書士、税務上の取り扱いは税理士など、内容に応じて適切な専門家と連携してご案内いたします。

