その点呼、メールや電話で済ませていませんか?|運送業の点呼は「営業所で対面」が原則、記録は1年間保存
こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。
「早朝の出庫が多く、点呼はつい電話やメッセージで済ませがち」という運送事業者さまの声は、業界で耳にすることがあります。点呼は運行の安全を支える基本の手続きで、方法や記録にルールが定められています。
この記事の結論
- 点呼は営業所で行うことが原則とされ、電話等による点呼は「運行上やむを得ない場合」に限られるとされています。
- 点呼を行った旨と、報告・指示の内容は記録し、その記録を1年間保存することが求められています。
- 補助者に点呼を行わせる場合でも、運行管理者が行う点呼は、点呼を行うべき総回数の3分の1以上でなければならないとされています。
原則は「営業所で、対面で」
国土交通省の「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」では、点呼は営業所において行うことが原則とされています。営業所と車庫が離れている場合は、運行管理者等を車庫へ派遣して、対面点呼を確実に行うよう指導することとされています。
電話等による点呼が認められるのは“やむを得ない場合”だけ
電話等による点呼が認められるのは、遠隔地で乗務を開始・終了するなど、運行上やむを得ない場合に限られるとされています。次のようなケースは、やむを得ない場合に当たらないと整理されています。
- 車庫と営業所が離れているだけの場合
- 早朝・深夜で、点呼を行う人が出勤していない場合
また、電話等の「その他の方法」は、携帯電話や業務無線など、運転者と直接対話できる手段に限られ、電子メールやFAXのような一方的な連絡方法は認められないとされています。運転中に電話等で点呼を行うことは禁止され、電話等で行う場合も、アルコール検知器を用いて測定結果を報告させることが求められています。
記録に残す内容と保存期間
点呼を行った旨と、報告・指示の内容は記録し、その記録を1年間保存することが定められています。電磁的方法による記録・保存も認められています。解釈・運用では、記録事項として次のものが示されています。
- 【乗務前】点呼執行者名、運転者名、車両の識別、点呼日時、点呼方法(アルコール検知器の使用有無)、酒気帯びの有無、疾病・疲労等の状況、日常点検の状況、指示事項
- 【乗務後】点呼執行者名、運転者名、車両の識別、点呼日時、点呼方法、自動車・道路・運行の状況、交替運転者への通告、酒気帯びの有無
補助者を使うときの“3分の1”ルール
補助者が点呼の一部を行うことはできますが、運行管理者が行う点呼は、点呼を行うべき総回数の少なくとも3分の1以上でなければならないとされています。補助者は、酒気帯びや疲労等の異常を認めたときは、直ちに運行管理者に報告し、指示を仰ぐことが必要です。
なお、IT点呼や自動点呼など、対面と同等の効果を有するものとして認められる方法もありますが、機器や施設の要件、運行管理規程への明記などの条件が定められています。導入を考える場合は、要件を満たしているか事前の確認が大切です。
点呼のチェックリスト
- ☐ 点呼は原則として営業所で対面で行っているか
- ☐ 電話等で行う場合、運行上やむを得ない理由があり、アルコール検知器の結果も報告させているか
- ☐ メール・FAXなどの一方的な連絡だけで済ませていないか
- ☐ 乗務前・乗務後の記録項目がそろっているか
- ☐ 記録を1年間、紛失せずに保存しているか
- ☐ 補助者の点呼が、運行管理者の点呼の回数を上回りすぎていないか
よくある質問
Q1. 運転者からのメール報告だけで、点呼したことになりますか?
A. 解釈・運用では、電子メールやFAXなどの一方的な連絡方法は、電話等による点呼の「その他の方法」に当たらないとされています。
Q2. 点呼記録は紙でなく、電子データで保存してもよいですか?
A. 電磁的方法による記録・保存も認められているとされています。ただし、1年間の保存期間は変わりません。
まとめ
点呼は「営業所で対面」が出発点で、電話等はあくまで例外です。記録は1年間保存し、いつでも確認できる状態にしておきましょう。
点呼の実施方法や運行管理規程の整備、運輸局への各種届出書類の作成は行政書士がお手伝いできる分野です。運転者の労働時間や賃金などの労務管理は社会保険労務士へ、税務は税理士へのご相談をおすすめします。