「来月からトラックを走らせたい」は間に合う?一般貨物運送業許可、申請から運輸開始までの5ステップ
こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。
運送業の新規許可について、「どのくらいで走り出せるのか」というご相談をよく伺います。
「取引先から来月から頼みたいと言われた」「申請さえ出せばすぐ許可が下りるのでは」。
そう考えている方は少なくありません。
結論から言うと、来月からの運行はかなり厳しいと考えられます。
この記事の結論
- 一般貨物自動車運送事業の許可は、関東運輸局の資料で標準処理期間が「3〜5か月」とされています。
- 申請後には役員法令試験(奇数月実施・30問中8割で合格)があり、1申請につき受験は2回までとされています。
- 許可が出ても、すぐには走れません。登録免許税の納付、運行管理者等の選任、緑ナンバーの取得などを経て、許可から1年以内に運輸開始する必要があるとされています。
なぜ、申請してすぐに走れないのか?
運送業の許可は「書類を出して終わり」ではありません。
申請の後に、役員の法令試験、書類の審査、許可後の準備と、いくつもの段階が控えています。
関東運輸局の資料では、全体の流れが次の5つのステップで示されています。
「申請」と「走り出す日」の間には、思った以上の距離があります。
申請から運輸開始まで、5つのステップを図解
| ステップ | 主な内容 | 注意したい点 |
|---|---|---|
| ①許可申請書の提出 | 営業所・車庫・車両・資金・人員の計画をまとめて申請 | 営業所や車庫、自己資金は申請前に確保しておく必要があります |
| ②役員法令試験 | 奇数月に実施、30問中8割の正解で合格 | 1申請につき2回まで。不合格が続くと申請が振り出しに戻るおそれがあります |
| ③書類審査 | 要件を満たしているか運輸局が審査 | 書類の補正にかかった期間は、標準処理期間に含まれないとされています |
| ④許可処分 | 許可後に登録免許税の納付、運行管理者・整備管理者の選任、運輸開始前の確認報告、車両登録(緑ナンバー) | 許可が出てからも、準備の手続きが続きます |
| ⑤運輸開始 | 運輸開始届・運賃料金設定届の提出 | 許可から1年以内に運輸開始する必要があるとされています |
①から④までの標準処理期間が「3〜5か月」とされています。
ただし、2回目の法令試験までの期間や書類の補正期間は、この期間から除かれるとされています。
申請前の準備期間も含めると、半年前後を見込んでおくのが現実的と考えられます。
いちばん時間を左右するのは、申請「前」の準備
5つのステップのうち、最も読みにくいのは、実は①の前の段階です。
営業所や車庫の使用権原の確保、車両の手配、自己資金の準備、運行管理者の確保。
これらが揃わないと、申請書そのものが出せません。
逆算のスタート地点は「申請日」ではなく「準備を始める日」です。
スケジュールが後ろにずれたBさんの例(参考)
取引先から「3か月後から運んでほしい」と言われ、急いで準備を始めたBさん(一般的な例として)。
車庫の契約に時間がかかり、申請は1か月遅れに。さらに役員法令試験の日程が合わず、次の奇数月まで待つことになりました。
結果として、取引開始の時期を取引先と相談し直すことになった、というパターンです。
準備の順番を最初に整理しておけば、避けられた遅れかもしれません。
理解度チェッククイズ
Q1. 関東運輸局の資料で示されている、一般貨物運送業許可の標準処理期間は?
A. 約1か月 B. 3〜5か月 C. 約1年
答え:B。ただし、書類の補正期間や2回目の法令試験までの期間は含まれないとされています。
Q2. 役員法令試験の合格基準は?
A. 30問中6割 B. 30問中7割 C. 30問中8割
答え:C。奇数月に実施され、1申請につき2回までとされています。
申請前にチェックしておきたいこと
- ☐ 営業所・休憩施設・車庫の場所は決まっていますか
- ☐ 必要な自己資金は、申請から許可まで確保し続けられますか
- ☐ 運行管理者・整備管理者になる人の目途は立っていますか
- ☐ 法令試験を受ける役員の勉強時間は確保できていますか
- ☐ 取引先には、許可取得までの期間を正直に伝えていますか
よくある質問
Q1. 許可が出れば、その日から営業できますか?
A. できないと考えられます。許可後に登録免許税の納付、運行管理者等の選任、運輸開始前の確認報告、車両の登録(緑ナンバー)などが必要とされています。
Q2. 法令試験に2回落ちたらどうなりますか?
A. 関東運輸局の資料では、試験は1申請につき2回までとされています。2回とも不合格の場合は、その申請では許可を受けられない扱いになると考えられるため、事前の準備が重要です。
ワンポイントアドバイス
取引先に開始時期を伝える前に、まず「いつ申請できるか」を確定させましょう。
営業所・車庫・資金・人の4つが揃う日が、実質的なスタートラインです。
なお、資金計画や税務は税理士、ドライバーの雇用・労務は社会保険労務士の専門領域になります。
まとめ
一般貨物運送業の許可は、標準処理期間だけで3〜5か月とされています。
申請前の準備と、許可後の手続きまで含めると、さらに時間がかかります。
ここまでが全体の流れです。ただ実務では、車庫の条件や試験日程など、事業者ごとに遅れの原因が異なります。
「いつまでに何をすれば間に合うのか、整理してほしい」。
そんな段階のご相談で構いません。柏市・千葉県内で運送業の開業をお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。