運送業許可、個人から法人への切り替えは新規許可並み?|法人成りで押さえるべき3つのポイント

こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。

個人事業で一般貨物自動車運送事業を営んでいる方から、事業拡大や取引先からの信用力向上などを理由に「そろそろ法人化(法人成り)を考えている」というご相談を伺う機会が増えています。その際によく話題になるのが、「今持っている運送業許可は、法人になってもそのまま使えるのか」という点です。

この記事の結論(3点)

  • 運送業の許可は個人・法人といった申請者(名義)ごとに与えられるものとされており、法人化しても自動的には引き継がれないと考えられます。
  • 許可を引き継ぐには「譲渡譲受」の認可申請が必要とされ、審査の内容は新規許可申請と同等かそれ以上とされています。
  • 認可が下りるまでの間は従来の許可での運行が前提となるため、法人設立前からのスケジュール逆算が重要になると考えられます。

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なぜ「そのまま」使えないのか?許可は個人・法人ごとの人格単位

一般貨物自動車運送事業の許可は、申請した個人または法人という「事業者」に対して与えられるものとされています。個人事業主として許可を受けていた場合、その後に会社を設立しても、法律上は個人と法人は別の人格として扱われるため、許可も自動的には移らないと考えられます。

そのため、法人成りにあたっては、新しく設立した法人が改めて許可の名義人になる手続きを行う必要があるとされています。

譲渡譲受認可で一体として引き継ぐもの

許可を個人から法人へ引き継ぐ方法としては、新規許可を一から取り直す方法のほかに、「譲渡譲受」の認可を受ける方法があるとされています。譲渡譲受認可は、事業の全部を対象とするものに限られ、営業所・自動車車庫・車両・機械器具・什器備品等を一体として引き継ぐことが求められ、営業権だけを切り離して譲渡譲受することは認められないとされています。

また、審査にあたっては譲受人側(この場合は新設法人の常勤役員)が法令試験を受験し、合格する必要があるとされています。試験は申請した月の翌月以降の奇数月に実施されるとされ、新規許可申請の場合と同様の水準で審査が行われると考えられます。

空白期間を作らないための逆算スケジュール

譲渡譲受認可の審査には一定の期間を要するとされ、認可が下りるまでの間は、従来どおり個人事業主名義での運行を続ける必要があると考えられます。法人を先に設立してしまってから許可の手続きを考え始めると、事業を一時的に止めざるを得ない空白期間が生じるおそれもあります。

そのため、法人成りを検討し始めた段階で、法人設立のタイミングと譲渡譲受認可申請のタイミングをあわせて逆算し、営業所を管轄する運輸支局に早めに相談しておくことが重要になると考えられます。

ここまでが制度の全体像です。ただし、実際の手続きでは、現在の許可の範囲(車両数・営業所の状況等)や希望するスケジュールによって進め方が変わってくる面もあります。

  • ☐ 現在の許可が個人事業主名義であることを確認したか
  • ☐ 法人設立のタイミングと譲渡譲受認可申請のタイミングを整理したか
  • ☐ 新設法人の常勤役員(法令試験の受験者)を決めているか
  • ☐ 営業所・車庫・車両等を一体で引き継ぐ準備ができているか
  • ☐ 営業所を管轄する運輸支局への事前相談を済ませたか

Q1. 個人事業主本人が法人の役員になる場合も、法令試験は必要ですか?

A. 譲渡譲受認可の審査では、譲受人となる法人の常勤役員が法令試験を受験する必要があるとされています。個人事業主だった方がそのまま法人の役員になる場合でも、改めて受験が必要になると考えられます。

Q2. 認可が下りるまでの間、運行を止めなければなりませんか?

A. 認可が下りるまでは、従来の個人事業主名義の許可のもとで運行を続けることが前提になると考えられます。ただし、名義の切り替えのタイミングや実務上の扱いは個別の事情によって異なるため、運輸支局への確認が必要です。

(参考)個人事業で一般貨物自動車運送事業を営んでいたA氏は、取引先からの信用力向上を目的に法人化を検討し始めました。法人を設立してから許可の手続きを調べ始めたところ、譲渡譲受認可の審査期間や法令試験の実施時期(奇数月)の関係で、想定より手続きに時間がかかることが分かりました。結果として、運輸支局への相談を先に済ませ、法人設立の時期を認可手続きのスケジュールに合わせて調整することになった、というケースは実務上よく見られるパターンとされています。

ワンポイントアドバイスとして、法人成りを考え始めたら、定款の事業目的や資本金額など会社設立に関わる部分は、運送業許可の要件(資金要件等)ともあわせて確認しておくと、後戻りが少なくなります。なお、法人成りの際の税務上の取り扱い(消費税の免税判定等)は税理士、社会保険・労働保険の手続きは社会保険労務士がそれぞれの専門領域になりますので、あわせて相談されることをおすすめします。

まとめとして、運送業許可は法人成りをしても自動的には引き継がれず、譲渡譲受認可という新規許可並みの手続きが必要になると考えられます。空白期間を作らないためにも、法人設立前の早い段階で運輸支局へ相談し、スケジュールを逆算しておくことが大切です。

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