下請代金の支払い、いつまでに?建設業の支払いルールと手形の今後
こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。千葉県・埼玉県の建設業者様からのご相談も承っております。
「下請代金はいつまでに支払えばよいのか」「手形での支払いは今後も続けてよいのか」というご質問をいただくことがあります。国土交通省は毎年、下請代金の支払いに関するルールの徹底を建設業者団体に要請する通達を出しており、直近では令和7年12月16日付で発出されています。
今回は、この通達の内容をもとに、検査・引渡しの期限や下請代金の支払い方法について整理します。
この記事の結論
- 下請代金のうち、少なくとも労務費相当分は現金払いとすることが求められています
- 特定建設業者は、引渡しの申し出日から50日以内でできる限り短期間に支払うこととされています
- 手形による支払いは、令和8年に向けて廃止・電子記録債権等への移行が進められています
検査から引渡しまでの目安
通達では、元請負人は下請負人からの工事完成通知日から20日以内で、できる限り短期間に検査を完了することとされています。検査完了後、下請負人から引渡しの申し出があったときは、直ちに引渡しを受けることとされています。
下請代金の支払いルール
下請代金については、少なくとも労務費相当分(社会保険料の本人負担分を含む)を現金払いとするよう支払条件を設定することが求められています。特定建設業者は、完成を確認した後、引渡しの申し出日から50日以内で、できる限り短期間で支払うこととされています。また、元請負人が発注者から支払いを受けた場合は、その日から1か月以内でできる限り短期間に下請負人へ支払うことも求められています。
前払金を受領した際の適正な支払いや、中間前金払制度の積極的な活用についても盛り込まれています。正当な理由のない長期間の支払保留は禁止事項とされています。
手形払いの今後
手形払いをめぐっては、令和8年の手形の利用廃止等に向けて、振込払や電子記録債権への移行、手形期間の短縮といった取り組みを進めることとされています。特定建設業者には、一般の金融機関で割引が困難な手形を交付することが禁止されており、令和6年11月からは支払期日が60日を超える手形は「割引困難な手形」に該当するおそれがあるものとして、行政指導の対象となる点にも留意が必要です。
さらに、下請法の改正により、令和8年1月からは製造委託等の代金支払いにおいて手形の交付そのものが禁止されることも通達に盛り込まれています。手形払いを続けている場合は、振込や電子記録債権への切り替えを早めに検討することが望ましいと考えられます。
消費税相当額の取り扱い
取引上の地位を不当に利用し、消費税相当額の一部または全部を一方的に支払わない行為は、建設業法や独占禁止法の規定に違反するおそれがあるとされています。下請負人との取引にあたっては、消費税相当額の取引価格への反映について、双方対等な立場で十分に協議することが求められています。
確認しておきたいチェックリスト
- ☐ 検査は工事完成通知日から20日以内に完了しているか
- ☐ 労務費相当分を現金払いにしているか
- ☐ 支払いが引渡しの申し出日から50日を超えていないか
- ☐ 支払期日が60日を超える手形を交付していないか
- ☐ 消費税相当額を一方的に減額していないか
Q. 手形払いはすぐにやめないといけませんか?
A. 通達では令和8年に向けた段階的な移行が求められており、支払期日が60日を超える手形は既に指導対象となり得るとされています。振込や電子記録債権への切り替えを計画的に進めることが望ましいと考えられます。
Q. 支払いが遅れた場合、どのような問題がありますか?
A. 正当な理由のない長期間の支払保留は禁止事項とされており、建設業法に基づく指導の対象となるおそれがあります。資金繰りに影響が出る前に、支払条件を書面で明確にしておくことが重要と考えられます。
まとめ
下請代金の支払いについては、検査・引渡しの期限、現金払いの原則、そして手形払いからの移行という3つのポイントを押さえておくことが、健全な取引関係の維持につながると考えられます。支払条件の見直しや契約書への反映でお困りの際は、お気軽にご相談ください。
なお、資金繰りや税務に関するご相談は税理士、労務・社会保険に関するご相談は社会保険労務士など、内容に応じて適切な専門家と連携してご案内いたします。

