2院目を開く前に|クリニック分院展開、開設届・管理者要件で確認したいこと

こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。

1院目の経営が軌道に乗ってくると、「2院目を出したい」というご相談をいただくことがあります。

『院長である自分が、両方のクリニックを見られないだろうか』

そう考える先生も少なくありません。しかし、診療所の管理者(院長)は原則として常勤かつ他院との兼任ができないとされており、分院展開では別の常勤医師を確保する必要があります。

この記事の結論です。

  • 診療所の管理者は原則として常勤の医師とされ、他の診療所との兼任は認められないとされています。
  • 分院を開設する際は、医療法人内部の意思決定手続きと、行政への開設届出等の手続きの両方が必要とされています。
  • 外来医師が集中する地域では、新規開業(分院を含む)にあたって別途の対応が求められる場合があるとされています。

行政書士だいち法務事務所(代表:行政書士 和田一宏)

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まず問われるのは、開業場所ではなく体制

分院展開を考えるとき、多くの先生は「どこに出すか」から検討を始めます。

しかし実務上、先に確認すべきは体制面、特に管理者(院長)を誰にするかという点です。

診療所の管理者は、医療法上、原則として常勤の医師でなければならず、他の診療所の管理者と兼任することは原則できないとされています。

つまり、既存院の院長がそのまま分院の管理者を兼ねることは、原則として想定されていません。

分院開設の流れ、2つの段階で進む

医療法人が分院を開設する場合、手続きは大きく2つの段階に分かれるとされています。

段階 内容
① 医療法人内部の手続き 社員総会での分院開設の決議、分院の管理者となる医師の選任決議
② 行政への手続き 保健所等への診療所開設届の提出、必要に応じた事前相談・許可申請

内部の意思決定を済ませてから行政手続きに進む、という順番を誤ると、後から決議のやり直しが必要になることもあります。

管理者要件、例外もあります

原則として兼任はできないとされていますが、へき地医療など特別な事情がある場合には、都道府県知事の許可を得て兼任が認められるケースもあるとされています。

また、自治体によっては「診療所2か所以上管理許可申請」のような、複数施設の管理に関する個別の許可制度を設けている例もあります。

いずれも例外的な取り扱いのため、原則(常勤・専任)を前提に体制を組むことをおすすめします。

外来医師過多区域との関係にも注意

令和8年4月から順次施行されている改正医療法では、外来医師が集中する地域(外来医師過多区域)での新規開業について、地域で不足する医療機能の提供を要請される仕組みが導入されているとされています。

分院も新規開業の一種として扱われる可能性があるため、開設予定地がこうした区域に該当するかどうかも、早い段階で確認しておくと安心です。

理解度チェッククイズ

Q1. 診療所の管理者について、正しいのはどれでしょうか。

A. 非常勤でも問題ない B. 原則常勤で他院との兼任はできない C. 医師でなくてもよい

答え:B。原則として常勤の医師が管理者となり、他の診療所との兼任は認められないとされています。

Q2. 分院開設の手続きの順番として適切なのはどれでしょうか。

A. 行政手続きを先に進めてから内部決議をする B. 内部の意思決定(社員総会等)を先に行ってから行政手続きに進む C. どちらを先にしても問題ない

答え:B。内部の意思決定を先に固めてから行政手続きに進むのが一般的な流れとされています。

分院の院長探しに苦労したEクリニックの例(参考)

分院の場所や設備の準備は進んでいたものの、管理者となる常勤医師が決まらず、開設届の提出が遅れてしまう――という一般的なパターンは、分院展開の相談の中でしばしば見られます。

場所探しと並行して、管理者となる医師の確保を早めに進めておくことが、スケジュール全体を左右します。

ワンポイントアドバイス

分院展開を検討し始めたら、まず「誰が管理者になるか」を最優先で固めることをおすすめします。人事労務や雇用契約に関するご相談は、社会保険労務士とも適宜連携してご案内いたします。

ここまでが全体像です。ただし実務では、医療法人の定款の内容や、既存の許認可の範囲によって必要な手続きが変わることもあります。

まとめ

分院展開では、開業場所よりも先に、常勤で専任の管理者を確保できるかどうかが手続きの起点になるとされています。内部の意思決定と行政手続きの順序を守り、外来医師過多区域規制との関係も早めに確認しておくことが望まれます。

『いつまでに何をすればいいのか整理してほしい』というお悩みは、この段階のご相談でも構いません。分院開設のご相談は行政書士だいち法務事務所へお気軽にお声がけください。

行政書士だいち法務事務所(代表:行政書士 和田一宏)

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