【診療所の承継を控えている方へ】開設者変更の届出、個人開設と医療法人開設でこう違います

こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。

「親のクリニックを継ぐことになったが、どんな手続きが必要か」というご相談をいただくことがあります。「承継」という言葉から、単純な「変更届」を出せば済むとイメージされる方も多いのですが、実は診療所の開設形態(個人開設か医療法人開設か)によって、必要な手続きが大きく異なるとされています。

この記事の結論は次のとおりです。

  • 個人が開設している診療所は、開設者(医師本人)が交代する場合、原則として既存の診療所の廃止届と、新たな開設者による新規開設届の両方が必要になるとされています。
  • 医療法人が開設している診療所は、法人自体は存続するため、理事長交代等の変更届出で対応できる場合があるとされています。
  • いずれの場合も、保険医療機関の指定に関する手続きが別途必要になることがあり、この部分は厚生局の管轄になるため、早めに全体のスケジュールを確認しておくことが重要です。

行政書士だいち法務事務所(代表:行政書士 和田一宏)

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個人開設のクリニックを承継する場合の扱い

個人(医師・歯科医師)が開設している診療所は、開設者そのものが交代する場合、法律上は「今の診療所を廃止して、新しい開設者が新たに診療所を開設する」という整理になるとされています。開設者の変更や移転は新規開設として取り扱われ、既存の診療所については廃止の手続きが必要になるとされています。

そのため、「変更届を1枚出せば承継が完了する」というイメージとは異なり、実務上は廃止届と新規開設届という2つの手続きを、タイミングを合わせて進める必要があるとされています。

医療法人開設の場合の扱い

これに対して、医療法人が開設している診療所の場合は、法人格そのものは継続するため、理事長の交代などについては、医療法人としての変更登記や、都道府県・保健所設置市への変更届出で対応できる場合があるとされています。個人開設のケースとは扱いが異なる点に注意が必要です。

例えば千葉市の場合、法人開設の診療所で許可・届出事項に変更が生じたときは、所定の様式(変更届出書)を千葉市保健所に提出する運用とされています。

千葉県・千葉市での届出窓口と期限

診療所の開設許可(届出)事項の一部変更については、変更が生じた日から10日以内に、所管の保健所に届け出る必要があるとされています。柏市は千葉県が所管する保健所の管轄となるため、承継や変更を検討する際は、事前に所轄の保健所へ相談しておくことをおすすめします。

チェックリスト

  • ☐ 診療所は個人開設か、医療法人開設か
  • ☐ 個人開設の場合、廃止届と新規開設届のスケジュールを保健所と調整したか
  • ☐ 医療法人開設の場合、理事長交代等の変更届出の要否を確認したか
  • ☐ 保険医療機関の指定手続き(厚生局)のスケジュールを確認したか
  • ☐ 変更が生じてから10日以内に届出できる準備ができているか

よくある質問

Q1. 個人開設のクリニックを子どもが承継する場合、保険診療は途切れませんか?

A. 開設者の変更に伴い新規開設の扱いとなるため、保険医療機関の指定についても、廃止・新規の手続きが必要になる場合があるとされています。診療の空白期間が生じないよう、早めに厚生局・保健所双方のスケジュールを確認しておくことが望ましいと考えられます。

Q2. 医療法人化していれば、承継の手続きは常に簡単になりますか?

A. 法人が存続する分、個人開設に比べて手続きが簡略化される場合があるとされていますが、理事長要件(医師・歯科医師が原則)や、都道府県の認可が必要な場面もあり、案件ごとに確認が必要と考えられます。

ワンポイントアドバイスとして、診療所の承継は、保健所への届出だけでなく、税務(資産の引継ぎ等は税理士へ)、雇用契約の引継ぎ(労務は社労士へ)など、複数の専門家が関わる場面が多くあります。早い段階から関係者と全体のスケジュールを共有しておくと、手続きの抜け漏れを防ぎやすくなります。

ここまでが手続きの全体像です。ただし、実際の承継では、診療科目や地域の状況によって必要な手続きが変わってくることもありますので、この段階でのご相談でも構いません。

まとめますと、診療所の承継は、個人開設か医療法人開設かによって必要な手続きが異なり、個人開設の場合は原則として廃止届と新規開設届の両方が必要になるとされています。「変更届だけで済む」と思い込まず、早めに保健所・厚生局へ確認しながら準備を進めることをおすすめします。

診療所の承継・開設者変更でお悩みの場合、保険医療機関の指定など専門機関の管轄が絡む部分も含め、まずは全体のスケジュールをご相談ください。

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