その資材運搬や警備の外注、「取適法」の対象かもしれません|建設業に及ぶ委託取引の新ルール

こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。

「うちは工事の元請だから、下請法(現在の取適法)は関係ない」——そう考えている建設業の経営者様もいらっしゃるかもしれません。しかし、工事そのものではなく、資材の運搬や現場の警備・清掃などを外部に委託している場合、その部分には取適法が適用される可能性があるとされています。

この記事の結論

  • 工事の請負契約自体は建設業法の対象であり、取適法(中小受託取引適正化法、令和8年1月1日施行、旧・下請代金支払遅延等防止法)の対象外とされています。
  • ただし、資材の製造委託・運送委託、施工図の作成、警備・清掃など、工事以外の業務を外部に委託する場合は、取適法が適用される可能性があるとされています。
  • 取適法では、手形等での支払いは受領後60日以内に現金化できるものに限られるとされ、いわゆる長期手形での支払いは実質的に制限されると考えられます。

行政書士だいち法務事務所(代表:行政書士 和田一宏)

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「下請法」から「取適法」へ、名称と考え方が変わりました

これまで「下請法」と呼ばれてきた下請代金支払遅延等防止法は、令和8年1月1日から「中小受託取引適正化法」(取適法)に改称されたとされています。単なる呼称変更ではなく、「下請」という言葉が持つ上下関係のイメージを見直し、対等なパートナーとしての取引関係を目指す趣旨があるとされています。

建設業法は工事そのものの請負契約を対象とする一方、取適法は資材製造・情報成果物作成・運送・役務提供といった「委託取引」に着目する法律とされ、両者は適用場面が異なるとされています。

建設業者が特に注意したい3つの委託

建設業者であっても、次のような工事以外の委託取引を行っている場合は、取適法の対象になり得るとされています。

  • 資材の製造・加工を外部に委託する場合(製造委託)
  • 施工図・CADデータの作成を外部に委託する場合(情報成果物作成委託)
  • 資材の運送を運送業者に委託する場合、現場の警備・清掃業務を委託する場合(役務提供委託)

対象となるかどうかは、委託する側・される側それぞれの資本金または従業員数の基準によって判断されるとされ、製造委託では従業員300人超、情報成果物・役務提供委託では従業員100人超が一つの目安とされています。

確認しておきたいポイント

  • ☐ 工事以外に、資材運搬・警備・清掃・CAD作成等を外部委託していないか
  • ☐ 委託先への支払いで、120日を超えるような長期の手形払いを行っていないか
  • ☐ 自社(委託する側)の従業員数が、製造委託300人超・役務提供委託100人超の基準に該当しないか
  • ☐ 委託先との契約に、取適法が求める書面交付(発注内容・対価・支払期日等)がなされているか

Q1. 工事の下請契約そのものは取適法の対象になりますか?

A. 工事の請負契約自体は建設業法の対象とされ、取適法の直接の対象にはならないとされています。ただし、工事に付随する資材調達・運送等の委託取引には取適法が及ぶ可能性がある点に注意が必要です。

Q2. 手形払いは全面的に禁止されるのですか?

A. 全面禁止ではないとされていますが、交付日から60日以内に現金化できないような長期手形は、取適法上の支払遅延とみなされる可能性があるとされています。段階的に現金払いや電子記録債権への移行を検討することが望ましいと考えられます。

ワンポイントアドバイス:自社の委託取引を「工事」と「工事以外」に分けて棚卸ししてみると、取適法の対象範囲が見えやすくなります。契約書・発注書の様式見直しは行政書士がサポートできる範囲ですので、お気軽にご相談ください。

まとめ

建設業者であっても、資材運搬や警備・清掃、CAD作成などの委託取引には、令和8年1月1日施行の取適法が適用される可能性があるとされています。工事の請負契約とは別に、こうした委託取引の契約内容・支払方法を見直しておくことが望まれます。

ここまでが全体像です。ただし実務では、委託の内容や取引先の規模によって適用の有無が異なります。この段階でのご相談でも構いません。

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※取適法違反の是正指導・勧告等の対応は公正取引委員会・中小企業庁が所管です。個別の該当性判断についても専門家にご確認ください。

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