往診と訪問診療、法律上の違いは?クリニック開業前に知っておきたい基本
こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。
在宅医療への展開を検討されている医師の方から、「往診と訪問診療は同じものではないのか」というご質問をいただくことがあります。日常会話では区別せずに使われることも多い言葉ですが、制度上は異なる位置づけとされています。
この記事の結論
- 訪問診療は、患者の同意を得て計画的な医学管理のもとに、定期的に医師が訪問して行う診療とされています。
- 往診は、患者の容体急変等に応じて、臨時に医師が訪問して行う診療とされています。
- 両者は診療報酬上の算定区分も異なるとされており、どちらに該当するかによって届出・体制面の考え方も変わり得るとされています。
「計画的・定期的」か「臨時」かが分かれ目
訪問診療は、通院が困難な患者に対して、あらかじめ診療計画を立てたうえで、定期的に医師が自宅や施設等を訪問して行う診療とされています。一方の往診は、患者や家族からの求めに応じて、症状の急変時などに臨時で訪問する診療とされています。同じ「自宅等での診療」であっても、あらかじめ計画されたものかどうかという点が、制度上の大きな分かれ目とされています。
診療報酬上の扱いも異なる
訪問診療と往診は、いずれも医療保険の適用対象であり、厚生労働省が定める診療報酬に基づいて点数が算定される仕組みとされています。訪問診療については、在宅患者訪問診療料として、同一建物居住者か否か等の条件に応じた点数が設定されているとされています。往診についても、往診料として別途の点数が設定されているとされており、算定要件が異なる点に留意が必要と考えられます。
クリニック開業時に意識しておきたいこと
在宅医療への参入を検討する場合、訪問診療を中心とした体制を作るのか、往診対応を中心とするのかによって、必要な人員体制や届出の考え方が変わってくる可能性があるとされています。特に在宅療養支援診療所としての届出を検討する場合は、24時間対応体制の整備など、追加の要件が求められることもあるとされていますので、早い段階で制度の全体像を把握しておくことが望ましいと考えられます。
確認しておきたいチェックリスト
- ☐ 自院で提供したいのは計画的な訪問診療か、臨時対応の往診か整理できているか
- ☐ 訪問診療と往診で診療報酬の算定区分が異なる点を把握しているか
- ☐ 在宅療養支援診療所としての届出要件(24時間体制等)を確認しているか
よくある質問
Q1. 往診専門のクリニックでも開業できますか?
A. 往診のみを行う形態も制度上は可能とされていますが、患者の同意や診療計画の有無によって訪問診療との区分が問われる場面もあるため、体制の整理が必要と考えられます。
Q2. 訪問診療を始める際に、開設届以外の届出は必要ですか?
A. 在宅療養支援診療所としての施設基準の届出など、通常の診療所開設届とは別の手続きが必要になる場合があるとされています。個別の体制に応じた確認が必要と考えられます。
ここまでが基本的な整理です。ただし、実際の届出内容は診療科目や提供する在宅医療の形態によって異なる場合があります。開業計画を整理したいという段階でのご相談でも構いませんので、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
訪問診療は計画的・定期的な訪問、往診は容体急変等に応じた臨時の訪問という点で制度上区別されており、診療報酬上の扱いも異なるとされています。在宅医療への参入を検討する際は、どちらの形態を中心にするかを早めに整理し、必要な届出・体制を確認しておくことをおすすめします。診療報酬の算定や税務に関わる部分は、それぞれ専門家とも連携しながら進めるとよいでしょう。

