その点呼、0.15mgだけ見ていませんか?|酒酔い運転に新設された「0.5mg」基準を整理
こんにちは。柏市の行政書士だいち法務事務所です。
「点呼のアルコールチェックは0.15mg未満ならセーフ」——運行管理者の方であれば、このように覚えている方が多いのではないでしょうか。実はこの基準とは別に、令和8年7月21日から、道路交通法上の「酒酔い運転」に新しい数値基準が加わったとされています。点呼の現場で見ている数字と、今回の改正の数字を混同すると、思わぬ誤解につながりかねません。
この記事の結論
- 運送事業者が点呼で使う「酒気帯び」の基準(呼気中アルコール濃度0.15mg/L以上で乗務禁止)自体は、今回の改正で変わっていないとされています。
- 今回新設されたのは、酒気帯びより重い違反類型である「酒酔い運転」の数値基準(呼気中アルコール濃度0.5mg/L以上)で、令和8年7月21日に施行されたとされています。
- 0.5mg未満であっても、言動や様子から「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」と認められれば、酒酔い運転にあたる場合があるとされています。
よくある誤解:「0.15mgをクリアすれば酒酔いにはならない」
点呼の現場では、アルコール検知器で0.15mg/L以上の反応が出た場合に乗務させない、という運用が広く定着しています。これは貨物自動車運送事業輸送安全規則に基づく「酒気帯び」の基準であり、道路交通法施行令上の酒気帯び運転の基準と同じ数値とされています。
一方、今回の改正で数値基準が新設されたのは、酒気帯び運転よりも罰則が重い「酒酔い運転」というカテゴリーです。従来、酒酔い運転には数値基準がなく、言動やふらつきなど外見上の様子で判断されていたとされています。令和8年7月21日の改正で、ここに「呼気中アルコール濃度0.5mg/L以上」という客観的な基準が加わりました。
正しい基準:2つの数値は「所管」も「意味」も別物
整理すると、次のようになります。
- 0.15mg/L以上:貨物自動車運送事業輸送安全規則上の「酒気帯び」基準。運行管理者はこの状態の乗務員を乗務させてはならないとされています(点呼の実務そのものは今回の改正で変わっていません)。
- 0.5mg/L以上:道路交通法上の「酒酔い運転」の数値基準(令和8年7月21日施行の新設)。0.5mg未満でも、様子によっては酒酔い運転と認定される場合があるとされています。
つまり、点呼で0.15mg/L以上の反応が出た時点で、そもそも乗務させてはならないというルールは従来どおりです。今回の改正は、万一そのまま運転してしまった場合の道路交通法上の罪の重さの基準が、より明確になったと捉えるのが実務的には近いと考えられます。
チェックリスト
- ☐ 点呼時のアルコール検知器の判定基準(0.15mg/L)を、乗務員・運行管理者双方が正しく理解しているか
- ☐ 「酒酔い運転」に0.5mg/Lという数値基準が新設された事実を、社内の安全教育に反映しているか
- ☐ 0.15mg/L未満であっても、言動やふらつき等がある場合は乗務させない運用を徹底しているか
Q1. 点呼のアルコールチェックの基準自体が0.5mgに変わったのですか?
A. いいえ。運送事業者が点呼で使う「酒気帯び」の基準(0.15mg/L以上で乗務禁止)は、今回の改正で変わっていないとされています。0.5mg/Lは、道路交通法上の「酒酔い運転」という別カテゴリーに新設された基準です。
Q2. 0.15mg/L未満なら安心してよいのですか?
A. 数値上は酒気帯びの基準を下回っていても、言動やふらつき等から正常な運転ができないおそれがあると判断されれば、酒酔い運転にあたる可能性があるとされています。数値だけに頼らない確認が引き続き必要と考えられます。
ワンポイントアドバイス
今回の改正を機に、点呼記録簿の様式や社内教育資料に「酒気帯び(0.15mg/L)」と「酒酔い運転(0.5mg/L)」の違いを一言添えておくと、乗務員・点呼担当者双方の誤解防止につながると考えられます。なお、違反時の刑事罰・行政処分の詳細な適用については、警察や弁護士等への確認が必要な場面もあります。
まとめ
令和8年7月21日の改正道路交通法により、「酒酔い運転」に呼気中アルコール濃度0.5mg/L以上という数値基準が新設されたとされています。運送事業者が点呼で使う0.15mg/Lの酒気帯び基準自体は変わっていませんが、この機会に2つの基準の違いを社内で改めて整理しておくことをおすすめします。
運行管理規程や点呼記録簿の様式見直しは行政書士がサポートできますが、個別の違反事案の刑事責任・行政処分に関する判断は、弁護士や警察への確認が必要な場合があります。
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